今回は「林原めぐみ」さんについてです。林原さんはデビュー以来第一線で活躍されているベテラン声優です。らんま1/2の女らんまやスレイヤーズシリーズの主人公・リナのような元気で活発な役から、エヴァンゲリオンの綾波レイや名探偵コナンの灰原哀といったクールな役。さらに天才バカボンのバカボンような少年役にサンリオの人気キャラクターであるキティちゃんのような可愛い役など、幅広い役を演じられる確かな実力者です。洋画吹き替えでもアニー2やアメリなど、様々な作品で主役を務められました。またラジオパーソナリティとして冠番組を持っていて、1992年の放送開始から今日まで20年以上に渡って続いています。その番組の放送回数は1000回を越えているのですが、短期間で終了しがちな声優によるラジオ番組でそんなに長い間放送し続けるのは極めて稀。さらに2015年まではもう1つ冠番組を持っていらしたのですがこちらも放送回数が1000回を越えていて、1人の声優が2つの冠番組で両方とも1000回を超えた例は他にありません。私も学生の頃は林原さんのラジオ番組をよく聞いていたのですが、リスナーから寄せられた応援や相談に明るくそして真摯に応える姿勢には毎回元気付けられました。
さらに声優でありラジオパーソナリティであると同時にレコード会社と契約している歌手でもあります。現在の若手声優のように養成所時代から歌唱の訓練をされていたわけではないのですが、アニメのイベントで歌手の代役として歌うことになった際にレコード会社のプロデューサーに才能を見出され歌手活動を行うようになりました。その圧倒的な歌唱力は他のアイドルやアーティストにも引けを取らず、オリコンで何度も10位以内に食い込むほど。その上初動売上10万枚を越えたシングルCDを出した声優は2016年現在でも彼女のみですし、声優によるアルバムCDの初動売上及び累計売上も歴代最高記録。全てのCDの通算売上枚数も声優業界ではトップです。歌唱力だけでなく作詞の才能にも恵まれていて自身が出演する作品の主題歌や挿入歌の作詞を多く手がけており、後輩声優などに詞を提供することもあります。そのメッセージ性が強く聴く人の心を捉える歌詞はとても評価が高く、小学校の音楽の教科書に載っていたほど。私も何枚も林原さんのCDを持っていますし、カラオケでもよく歌います。声優がレコード会社と契約しアーティストとしても活動する「声優アーティスト」の先駆けとなりましたし、第3次声優ブームの火付け役であり中心人物として1990年代の声優界を最も支えていたと言っても間違いありません。現在は家庭と子育てを優先するため産休前から続いている番組やそれによるゲームなどの派生作品、サンリオ関連や自身のラジオ番組以外の新規のお仕事はセーブされています。それでも人気は落ちることはなく、アニメ雑誌が行った人気声優ランキングで上位を維持し続けているアニメファンならば知らぬ者はいない“超”が頭にいくつも付くほどのビッグな方です。
そんな声優だけでなくラジオパーソナリティや歌手、作詞家など多岐に渡って活躍されている林原めぐみさん。多くの分野で活躍出来るのは自身の明るく前向きで元気な性格とチャレンジ精神、そして何より人並み以上のバイタリティだと思います。林原さんは看護師資格を持っていることでも知られているのですが、看護学校に通ったのは養成所と同時進行。養成所の授業はセリフを覚えたり役のことを考えたり発表会があるなどやることが多くて大変なのに、座学授業だけでなく実技授業もある看護学校での勉強を卒業するまでの3年間継続出来たのは流石のひと言です。特に看護師資格を取るための試験より精神的にも肉体的にも何倍も大変とされる病院実習が合計でひと月近くもあるうえに、実習期間は休みの日でもレポート作成に追われると聞きます。遊ぶ時間なんてほとんどなかったでしょうし、養成所の授業も休まずに参加するのは並大抵の根性では不可能と言えるでしょう。私は高校生のときに1週間老人ホームで実習してホームヘルパー2級の資格を取りましたが、1週間でも毎日ヘロヘロになるくらい大変だったのにその上さらに養成所の授業も受けると考えると・・・。本当に私では無理だし、想像しただけでブルブル震えます。それにも関わらず林原さんは養成所時代からメインの役ではないといえアニメに出演されるなど、1週間どころか1ヶ月どころか3年間毎日大忙しの養成所時代だったと思います。その激動の時間でも潰れずに全てのことを真剣に学び続けられたからこそ、あらゆる困難を乗り越え多くの人を元気づけられるパワフルな声優になれたのでしょう。